2010年10月19日

『ナイト&デイ』

今現在の現実世界を舞台にしたスパイアクション+ラブコメディを観ることができるとはおもってなかったよ。しかも滅法面白い。ああ、しあわせかも。
911以降禁断となってしまった、あるいはそれよりもずっと前に失われていたワクワクするアクション映画を新作として観ることができたのですから。能天気そうに見えて話を成立させるの結構難しかったんじゃないかなあ。でもできあがったんだなー。

マンゴールドの前作『3時10分〜』をそもそも自分は大層好きなのだけれど、あれはよく出来ているがちょっと生真面目すぎるという感想も聞きました。もしかしたら今作のプロデューサーか誰かも監督に対してそう思っていて、生真面目監督にアホストーリーを撮らせてみるとミラクル起きるんじゃねえの、と思ったのかも。
傑作になってしまった。
公式サイトのプロダクションノートに書かれているように、監督の狙いは「この作品を『シャレード』や『北北西に進路を取れ』のような映画にしたかった。空想的で心浮き立つ、モダンなアクション映画にね。」というもの。ああもう生真面目だなあ。でも、この映画の空気はまさにそれ。アホで能天気だけど80年代のひゃっほーではない、もっと大人の雰囲気。

だからこそ、主演の2人ははまり役なのです。年齢を超えて頑張るとかじゃなくて、いま『北北西〜』のような映画を作ろうと思ったら、この年齢が必要になってくるんです。30前後とか、今の時代じゃひよっこすぎる。ある程度の年齢、それでいて熱烈な恋愛にはまっても納得させられるようなスター性、そういう人がこの映画には必要だったんだな。
それにしても、キャメロン・ディアスのしわとか腹とか、よくぞそこまでさらけだした。それでいてかわいらしいんだからすごいわ。トム・クルーズは相変わらず口を半開きしまっくていて魅力的でしたし。

アクションはどれもきちんとしていて良かったのだけど、やはり牛追いの中のカーチェイスはすごかった。なんであのシーンで余裕綽々みたいな演技できるんだ。
翌日観た『十三人の刺客』にも牛暴走シーンがあったけど、こちらが断然すばらしい。ていうか、実写だしね、こっち。

あと公式サイトではキャスト紹介すらされてないけどポール・ダノ。エキセントリックかつ滅法弱いという役柄がはまりすぎていてとても良かった。

と、あまりにほめすぎな気がして他所様のブログをのぞいたりしてみたら思いのほかの激賞の多さにちょっととまどった。作品の出来のよさもあるけど、こういうテイストの映画を待っていた人も多かったんだなあ。

2010年05月31日

『ノン、あるいは支配の空しい栄光』

次々と繰り出される歴史劇の、実景ながらもどこか書割りっぽい感じが繰り広げられたかと思えば、白鳥がツルをくわえた貝のゴンドラに乗った女神が歌いだしたりと、油断ならない奇妙な味わいと歴史劇の衣装や馬のすばらしさの混在に、何となくロメールやシュミットを思い出したりしながら、やはり頭の隅で奇妙な映画だきみょうきみょうと呪文がループする。

ましてその劇中劇を呼び寄せる語り手は、植民地でゲリラと戦うために前線へと移動中の小隊の隊長で、聞き手は隊員。トラックで小銃を抱えながら、休憩時に缶詰を食べながらのその語りの光景は、もはや移動教室以外の何物にも見えないな、非戦闘の戦争映画かなどと油断したら最後の最後に戦闘シーン。彼らが急に兵士だったことを思い出させる訓練された動きを見せる瞬間はなんだか胸を衝かれた。

ほんの数分の戦闘シーンが、決定的になにかを変えてしまうことにおろおろする。

病院で横たわる無言の彼らが重体の小隊長を気遣っているのが、その視線で察せられる。いつのまにか自分も「移動教室」の生徒の一人として、小隊長を慕っていたことにそのときに初めて気がついて愕然とした。奇妙奇妙とつぶやいていたはずの自分がなにゆえ、これほどまでに慕う人を失う予感に取り乱すのか。

こうした心のつながりを見せてくれた「戦争映画」は見たことないなあと思い、このつながりをあっさりと失わせるものはノンだよ、ノン、と思った。病院の包帯ぐるぐる巻きなんてもはやギャグにしか見えないのに、奇妙で不思議なのに、なんなんだこの映画。

私ごときは、やっぱりオリヴェイラすげえ、とつぶやくことしか結局のところはできないのです。

2008年09月15日

『ニンゲン合格』

大好きな映画なんだけど、スクリーンで観るのは初めて。

シミのように壁に溶け込むかのような人物の「しみ」っぷりが、断然すごくて「存在」をあいまいにする。
洞口さんの歌をビデオで観たときには正直音痴に聞こえていたのだが、単に拾えてない音が多かったせいだったと判明。素敵な歌声でした。
夜の庭にたたずむ父を見つめる西島くんの目が少しずつ潤んでいく、その目がとろりと光っていることを発見。
菅田さんをスクリーンで観ると、細かい動きのぶれまでがはっきり見えて面白さ倍増。愛らしさ倍増。
西島氏の走りっぷりに、『ダジ急』のエイドリアン・ブロディを思い出した。全然違うんだけど、「走り」の映しかたなのかなあ。ただ、走っている人が映っているだけなのに。
葬送のシーンもやっぱり好きだ。

スクリーンで観てますます好きになった。
主人公の行動の1つ1つが最後の問いにつながっていくことを知っている身としては、ささいな行動や表情にいちいち涙がでて困った。泣けて泣けてしょうがないのだ。これだけ「泣けて笑える」映画はそうないと思うのだ。

2006年06月27日

『のらくら兵』1928

無音のホールに200人が無言で2時間

そんな状況に君は陥ったことがあるか。

正確には、130分のサイレント映画を音楽無しで200人くらいの人が観ている、という状況。もちろんその世界が完全に無音なのではなく、あちらこちらから時間を違えて掛け合いのように聞こえるいびき並びに寝息や、姿勢を直すときに椅子とすれる音などがあるものの、310人を収容できるホールにかなりの人が入って、200人は控えめな数字かも、無音の画面を見続けているというのは希有な体験でした。

自分の家でサイレントを観るときは無音だけど、映画館で無音というのはまるで異質だね。
しかし、オリジナルスコアを付けられないなら無音だ!というフィルムセンターの意気込みは潔い。いや、勝手な推測ですけど。

実際のところ、無音が気になったのは最初のうちだけで、慣れてしまえばそれほど窮屈な思いはしない。
ただこれがサイレントでなければ、ジャン・ルノワールはここにどんな音を付けたのだろうと、無いものに焦がれる気持ちが増長されるだけだ。

内容はコメディというよりはごく単純な筋のドタバタ喜劇、しかもどろくさい、といった感じで、正直それほど笑えるものでは無かったし、フレームの取り方もとっても素人臭い。
とはいえ、フィルモグラフィー後期に『草の上の昼食』のような奇妙な、けれど豊壌としか言いようのない幸福感に溢れた、映画を撮ってしまうような人なのだから、今作の微妙さを「初期だから」と処理してしまうのは間違いなのだろう。

どことない野暮ったさや素人臭さまでも含めて、そこから放出されているのは結局の所、ジャンが特権的に所有していると金井美恵子氏が言う、幸福感なのだ。
なんかみんなで楽しいことしようぜーと言って出来上がってしまったかのようなこの130分。

最も好きなのはラストの会食のシーン。オープニングであまりにも無惨な失敗に終わった食卓を囲むシーンが、ラストにおいて幸福に満ちあふれた傍若無人さで、お行儀良くなく、うち解けたものとして反復される。その会食の場だけでは飽きたらず、調理場までが友人達で溢れかえる騒々しさが、あまりにも豊かな幸福感にあふれていて、そこに色と音が無いことが信じられないほど。

ジャンの父、オーギュスト・ルノワールが描く「船の上の昼食」、あれはサロンでおばさま達がきれいねえ、などと上品に鑑賞するには、あまりにも生き生きと騒々しく生命力に溢れているものなんだと、ジャンの映画を観てから気がつき、オーギュストがあまりにも素晴らしくジャンの映画の豊穣さを1枚の絵に映しこんでいることの驚異に目を見張る。って、完全に前後が間違っているんだけど。

そうした豊穣さの固まりである「ジャンの食卓」を堪能できたことが幸せな映画でした。

映画の詳細↓

2006年05月06日

『Napoleon Dynamite』2004

『Napoleon Dynamite』観たよ。やっと観たよ。
すごく良いね。好き好き。
邦題は無かったことにしたい。
知らない人のために書いておくと「バス男」ね。
ツタヤで借りるときに自力で探さないと恥ずかしいね。
「ガーッシュ!」

Wes Anderson好きは好きなのではなかろうか?
タイプは違うけど『天才マックスの世界』をちょっと思い出す。
ナポレオンがベックちゃんとうっすら被ったのは私だけだろうか?
頼りなさげなのにやるときはやる感じとか、無意味にダンス旨いとか。
スーツ着て歩くスローモーションのシーンは完全にベックだよね?

どちらかというと負け組というものに分類されるかもしれない人たちの、
実際にはそれほど負けてない日常がゆるい笑いを基調に描かれていて楽しい。
1つ1つあげるとキリがないけれど、あのシーンがさ、といくらでも語り合いたくなる映画。たとえば、スーツ着たときに、髪の毛を7:3にセットしようとした努力の跡が見えるの好き。そういう細かいディテールまで楽しいね。あるいはナポレオンはもちろん、兄ちゃんやペドロ、アンクル・リコなどの物まねをしたくなる映画。
そんな映画がおもしろくないわけないのだ。
日常の細部を愛せる、しかしひねくれて、という人に最適。

カットシーンの、ペドロがマネキンのスーツを脱がせるシーンも好きだ。
マネキンの陰部に陰つけてるし〜。

ところで、アメリカでは6月に、
ジャック・ブラック主演+スクールオブロックの脚本+ナポレオン〜の監督
というルチャ・リブレ映画が公開されるようですね。
「Nacho Libre」ですって。
日本の公開はいつだろう?むちゃくちゃ楽しみだ!

そしてそれを期に今作のDVDが装い新に改訂再発されることを望む。

2006年01月09日

『ナショナル・トレジャー』2004

■インディ・ジョーンズの系譜に連なるものだから面白くないわけはないし、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のスタッフなのだから下手なものは作らないはず。そういう前提で観てみて、やっぱり面白い。それなりに。なんだろう、なんか入り込めない、わくわくしない。『パイレーツ??』はやっぱりジョニー・デップあってこそだったか?
■まず日本人には不利なネタ。フリー・メイソンや独立宣言書とかテンプル騎士団とか、とことん馴染みの薄いものを使ってワシントンやらニューヨークをかけずり回られても、半端にそういったものに対する知識がある分、未知のものに対するわくわくは無いし、かといって文化的親しみもなし。
■ナゾも簡単に解きすぎ。一番大変だったのはどうやら「シャーロット」を探すことだったみたいだけど、それが見つかるところから始まっちゃって、後の謎解きは謎解きというより過程を見せられているだけという感じだよ。ナゾはもう解けてるんだけど今まで物が手に入らなかっただけっていう。ケイジがどんどん解いていっちゃうし。
■設定を映像化するのに一生懸命で探検部分が少なかったんだな。みんなそつなくこなし過ぎなんだよ、宝探しを。もっと失敗してくれなくちゃ。ようするにわくわく感が足りてないのが問題。ん?この手の映画にわくわくが足りてなかったら致命的じゃないか。アメリカ人にとってはわくわくだったんだろうか。

■米ドルのお札の柄が気になるのは米人も一緒なのね。
■この監督って手堅くエンターテイメント作品作る人なのね。芸歴長くて話題作作り続けてるってすごい。でも『パイレーツ??』以外あんまり興味ないわ。

■ケイジは結構好きだけど、どうしたってケイジの相棒ライリーに愛着が湧く。こういう役回りが好き。こいつって『インディ・ジョーンズ2』におけるショート(キー・ホイ・クァン)でしょ。どうせならあれくらいどたばたやって欲しかったさ。

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