2007年08月26日

『天国の門』

回る回るよ世界は回る。
「UAを破産させた映画」という知識のみで観たこの映画は、ともかく回る映画だった。輪舞、スクラム、馬車、ローラースケート、戦争、人は自分を回し、円を周り、振り上げられた帽子も回る。
そして、画面の中で何かが回るたびに、この映画の豊かさが溢れ出す。
それは単純につぎ込まれた金額だけのものではないとはいえ、これだけのセットや群衆を作り出す映画はもはや存在できないだろうな。むしろ、81年にまだこれだけのものが作られていたことに驚いた。当時酷評されたなんてなー。やはり制作費が巨大すぎたことがいけなかったのだろうか。
回る、回るたびにその物量の豊富さが、そしてそれらがもたらす力が、遠心力によってスクリーンの外へ放出されているような映画だ。むしろ監督は遠心力の魔法を信じて群衆を回しカメラを回したんじゃないか。

話の内容としては、富裕層の既得権益を守るために邪魔になる、「遅れてきた移民」である、東欧ロシア系の貧しい移民たちを、合衆国政府掛かりで虐殺するという話なので、今ちょうど読んでいる『権力の読みかた』の内容を思い出し、権力というモノの本性にうんざりしてしまったりもするのだけど。この、治安(=セキュリティ)の大義名分によって治安を乱す者達(弱者)を切り捨てた時代から半世紀で国家は社会保障(=これもセキュリティ)を増強させ、1世紀で再びもとに還ろうとしているのかなあ、とか。観ている間はそんなこと考えもしないけど。

今回の上映は16ミリを焼き直してトリミングした版ということで、画面がやや不鮮明だったのが残念。きれいなプリントで本来のシネスコで観たら、あの荒野が、あの戦闘が、輪舞が、どんなふうに見えるんだろう。あと、オリジナル219分版も観てみたい。

若いクリストファー・ウォーケンの顔があまりにもオリジナリティに溢れていて居心地が悪くなってしまうのだが、話が進むにつれて、繊細さに溢れた顔に見えてくるのが不思議。

群の集会所でのローラースケートパーティにおける「カントリーミュージック」がまさしくRailRoadEarthと同じ至福感に満ちあふれていたので、あの音楽においてサークルモッシュが出来ることの当然さを会得。回ることこそがあの音楽に対する正しい向き合い方だ。

ああ、それにしても、全ての回るシーンがすごいよ。

@シネマヴェーラ
1981年(149分公開版)
マイケル・チミノ監督
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(今日の映画)天国の門
Excerpt: 天国の門 (1981/米) Heaven's Gate
Weblog: Kozmic Blues by TM
Tracked: 2007-09-20 18:34
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