2007年08月19日

『雪夫人絵図』

主人公以外の全員がダメダメ主人公のことを思いやったり、想ったりしてイライラしつづけるという状況が延々と繰り広げられるという、キリキリ絵巻。
イライラが頂点に達して本来持つ必要の無い人間が出刃包丁まで持ち出しちゃう。
そのすごい状況はしかし、主人公本人の言うような、呪われたどうしようもなさでもなく、主人公を思いやる相手が言うように、闘ってうち破っていくべき厚い壁というわけでもなく、ただ、ねっとりとその空気の中に停滞しているように見えるのだが、そのねっとりさがどこから出ているのかと言えばやはり主人公を演じる木暮美千代からなのだから、やっぱり呪われていると言うべきなのか。呪われているのは「女」ではなく、木暮美千代の表皮をねっとりと被っている粘液質の何か。
その粘液質までが最後には水に溶け、「いくじなし」の一言の元に収束することにむしろほっとしてしまった。

熱海から芦ノ湖への山並み、早朝の朝靄に包まれる山のホテルと草むらのモコモコが妙に現実味がない美しさ。
他の船(もちろん観光船も)ない湖上に和服の女を乗せたモーターボート。かっこいいっす。

ところで田中春男はどこにでていたのだ?
(※梅本氏の文章に記されていました。ホテルのボーイ、あれかー!気が付かなかった。春男ファンとして不覚です。)


監督:溝口健二
1950年
@フィルムセンター
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