2007年07月15日

『ボンボン』

注:観てからちょっと時間が経っているので、感想を書くのは自分の記憶力との格闘でもあります。

この映画に惹かれたのが、すっとぼけた顔のおっさんと犬が、すっとぼけた顔で車に並んで乗っているチラシの写真(この絵面)のためであるとはいえ、心温まる的なキャッチコピーとオシャレかわいいデザインのチラシから感じるのは「不作」の2文字。体験上。
それでもやっぱり、並んで座る1人と1匹のその瞬間のシーンさえ観られればいいと劇場へ足を運んでしまったのだった。

すっとぼけ顔の犬に魅了されていた者としては、その犬の扱いの素っ気なさ、チラシのシーンも含めての呆気なさに幾分物足りなさは感じたものの、映画としてはむしろその素っ気なさこそが全体の雰囲気を作り上げていた。
文化の違いもあるのか、今一つ登場人物たちの意図が善意に基づいているのか悪意に基づいているのか分からない上に、その中をさまよう主人公のおっちゃんが常に口元に浮かべる微笑みもそのあいまいさを助長し、観ている側としては、翻弄されている様に見えるおっちゃんを応援すべきなのかどうなのかすら判断に迷ってしまう。
どうにかしてその口元の微かな動きにおっちゃんの気持ちを推し量ろうと頑張っている間にも物語は展開し続けラストシーンに至る。そして、そのラストシーンでやっと私達はおっちゃんの表情からはっきりとした感情を読みとることが出来るのだ。
そのわずかな違いに気づくように私達は誘導されていたに違いない。
その微笑みはそれまでの困惑を含んだ微笑みから解放された微笑みなのだ。

犬の描かれ方が素っ気ないのはもちろん必然で、犬との適度な距離があるからこそ、ラストのおっちゃんの微笑みも気持ちのいいものになる。

売り文句の「幸せを呼ぶ」とか「世界一ついてない」といった大仰なコピーはにつかわしくない。もっとさりげないし、なんてことはない映画だけれど、おっちゃんのあのかすかな表情の変遷はひどく魅力的だ。


@シネカノン有楽町
2004年
監督:カルロス・ソリン
この記事へのコメント
話の腰を折って大変恐縮なんですけど、
コミックボンボン休刊には、落涙を止める事は
出来ませんでした…。
小学校時代の思い出フォーエヴァー
Posted by しばむらきち at 2007年07月18日 23:48
>しばむん
そのニュース見て、これの感想書いてないのを思いだした、訳ではないのだけど、幾分ねじれた形で世の中とシンクロしてしまったよ。

ボンボン、通過しなかったなあ…
Posted by だま at 2007年07月20日 00:29
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