2007年07月01日

『プレステージ』

この映画をタネ明かしものとして捉えて良いのやらどうやら。
ひどくまじめで丁寧な作りにより、中盤を過ぎれば誰もがそのタネを予想できるのだし、それは失敗というよりは、監督が「さいごにびっくり」という種の仕掛けにこだわっていないためではないか。
あるいは、監督は仕掛け人の立場より、タネを解き明かすべき観客に寄り添っているようにも見える。親切すぎるのか、監督の意図が“プレステージ”にないのか、どちらだろう。
怪奇、SFに広がる振れ幅は1つのジャンルから逸脱したがっているように見えるのだし、始まりと終わりのシーンに森の中のシルクハットを選んでいるのもその証拠のように見える。
さらに、ひどく丁寧で親切な作りは、途中でオチが分かったとしても最後まできちんと魅せる、という作用を果たしている。それはむしろもっと大きなタネを隠しているからなんじゃないの。

クリスチャン・ベール演じるマジシャンにとって「人生すべてがしかけ」であるように、冒頭の監督からの言葉自体がこの映画全体に対する仕掛けなんじゃないか。種明かしものだと思わされているだけならば、この監督はひどくイジワルだといえるな。だってそれって絶対に答えがないぞ。その悶々かげんを楽しむ映画か。一見親切ぶってる分タチが悪い。まあ、そう考える方が面白い。
でもじゃあ、せっかくそんな『フランケンシュタイン』まがいのことまでやったんだから、もっと逸脱してくれても良かったのに、とも思う。私の好みだけど。
せっかくそれだけのネタが揃っているのだからマジシャンの物語からがっつり逸脱して欲しかった。黒沢清作品のように、なんてね。まあ、単に怪奇的なシーンをもっとたくさん観たかっただけ、でもあるが。


@吉祥寺ユザワヤ前
2007年
監督:クリストファー・ノーラン
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/46358266
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

『プレステージ』
Excerpt:  時は19世紀のロンドン。マジックのステージで起こったひとつの悲劇が、ヒュー・ジ
Weblog: セガール気分で逢いましょう
Tracked: 2007-07-11 19:35
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。