2007年04月15日

『世界最速のインディアン』

結局のところ、本当にやりたいことをしっかりと見据えることができ、なおかつそれに打ち込む事ができる人間というのは、目標に対する強引さと、逆にそれ以外のものへのストイックさ、それに打ち込む満足感から来ると思われる優しさによって、愛されてしまうということなんだろう。
ましてやそれが老年期にさしかかる、酸いも甘いも経験してきた人物ならなおさらだ。
つまるところ、とても魅力的なおっさんである主人公は、「テキサス・チェーンソー・マサカー」の世界ならば100万回チェーンソーで切り刻まれても不思議ではないようなアメリカの道のりにおいて、彼を愛さずにはいられない人々を次々と生みだす。

出発前から伝説の達成、帰郷までの全編、彼がいかに人に愛されずにはいられない人物かを、映画は比較的ストイックに描く。ハプニングも、困難も、出会いも、変に誇張されることもないので、一見単調にも見えるかも知れない。けれど、監督までもがこの人物を愛してしまったかのように、彼の生き様を、彼に失礼のないように、誇張しすぎて彼自身の魅力を損なうことがないように、とても大切にエピソードを積み重ねているように思えた。
言い過ぎかも知れないけど、主人公の生き方と、映画のスタンスが同調しているような。絶対に譲れない芯を中心として、それ以外は決してやりすぎない。
こうした実話、おじい、夢、旅といった、やりすぎてしまうか、雰囲気に流されてダメになってしまいそうな要素が盛り込まれている設定で、多分そのスタンスがこの映画を単なる「感動もの」にはしていないんじゃないかと思う。少なくともこれは「高齢者に勇気を与える」というような類のなまぬるい話ではない。

ともあれ、主人公であるアンソニー・ホプキンスが見せる、あまりにも衝撃的で、それ以外のシーンをすべて忘れてしまいそうな「you're my sunshine」踊りを、最初に見せられたときには呆然とし、次に見たときには、彼の最も愛すべきふるまいの1つであると感じたのだから、映画の過程で私は主人公に確実に魅せられてしまったのだ。
ま、あの踊りはどうしたって真似したくなるほどに衝撃的で魅力的だ。

@テアトル新宿
2006
監督:ロジャー・ドナルドソン
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『世界最速のインディアン』
Excerpt: 主演はアンソニー・ホプキンス。 といっても彼が人肉を食らったり、人を皮肉ってニヒ
Weblog: セガール気分で逢いましょう
Tracked: 2007-04-15 23:41

映画/世界最速のインディアン
Excerpt: 映画「世界最速のインディアン」 監督・脚本 ロジャー・ドナルドソン 出演 アンソニー・ホプキンス
Weblog:  サ バ ペ
Tracked: 2007-04-16 00:53

≪世界最速のインディアン≫(WOWOW@2008/01/02)
Excerpt: 年明けからWOWOWで素晴らしい映画やってました 世界最速のインディアン   公式HP   詳細@yahoo映画 何てこった〜〜〜!! 存在自体もこの時初め..
Weblog: ミーガと映画と… -Have a good movie-
Tracked: 2008-01-21 16:22
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