2007年02月25日

『マリー・アントワネット』

これはようするに「ソフィア・コッポラ」を観に行く映画なのだろうか。ソフィアによるソフィアの模倣?ソフィアの提示する「おしゃれ」にどれだけはまれるかが、この映画をどれだけ楽しめるかに掛かっている気がする。
私はといえば、ソフィアの映画は苦手気味というか食わず嫌いにほぼ等しい。その視点から。

全体の印象が中途半端。
決して悪くはないけれど、だからどうした、という感じなのだな。80sの音楽を使うならそれで突っ走って欲しかったし、使い方としても音が小さいのが不満だし、コンバースをチラ映しするのは悪ノリの部類に入るか、もっと言えば、「現代」として描いたマリー・アントワネットなのだということの押しつけ、あるいは直接的な何かを見せなければという不安の表れにも見えて、まあ、早く言えば引いてしまう。
音楽に乗って次々とデザートや靴の映像が切り替わる、というのもなにやら今さら…という気持ちになってしまって、魅惑されないままにシーンは過ぎていく。

といいつつも、問題は提示される中身ではない。
魅惑されない原因がなんなのか、それは自分の中でははっきりしている。光だ。
どうしてこれほど頑なに全編のっぺりとした面白みのない白っぽい明かりなのだろう。森の中も、夜の寝室も、舞踏会も、マリーが「これほど美しい景色は見たことがない」と言う朝日のシーンまでも。
そのせいで、それなりに金をかけたと思われるせっかくの豪華なドレスや調度品、数々のデザート、シャンパン、ワイン、長い廊下、広い庭、そういったのものの魅力をまるで感じらない。たしかにドレスのフォルムやディテールは良く観察することはでき、すごいなあ、と感心することはできるが、そのひだが生み出すはずの影や光の動きになどまるで無頓着。
この光のために、この映画は「現代の少女のように描かれたマリー・アントワネット」ではなく「マリー・アントワネットのコスプレをした現代劇」になってしまっていやしないか?
もしほんの少しでもエリック・ロメールの操るような光があれば、ともったいなくてしょうがない。
そうでなくても、ローアングルで野の花の中を白いドレスを着たマリーが歩いていく、光に満ちた場面は室内や夜の闇があればこそ引き立つはずのものだったじゃないだろうか。
朝日ももっと美しく感じられたんじゃないだろうか。
闇と光のささやかさの徹底的な不足。
あれだけのドレスがありながら…もったいないおばけがでるぞ。

歴史劇を作ろうとしていないのだからと言われてしまえば、はあ、そうですか、としか言いようがないが、ヴェルサイユに押しかけた群衆の怒声が少なすぎやしないか。あの音じゃあ本当に映されている前5列くらいしか人がいない感じじゃないか。


魅了されたものといえばキルスティン・ダンストの胸元。
不満のため息をつくために吸い込んだ息で、締めつけられた胸の上、チェスト部分がぶわっとふくらむ、そのふくらみ方があんまり見事なので、何度繰り返されてもその度にぎょっとし、それと同時にその動きの美しさに目が釘付けになった。後半はそれが無くなって残念。
水色がともかくかわいい、好みの水色。特にオーストリアから輿入れする際の馬車内部の水色ワールドはすてき。

ソフィアのセンスを嫌ってるわけでは多分、ない。でもその見せ方がどうもダメ。そういうことらしい。いたるところでもったいないお化けが噴出しまくりました。

ルイ16世役が、時系列に乗っ取った変化を見事に見せているなと。地味にだけど、妙にいい味。
しかしこの顔どこかで…と思って調べてみたら『天才マックスの世界』のあいつかよ!おー。こいつ天才。て、これまたコッポラ一族かい。知らなかった。この映画に何人コッポラ一族関係してんの?そういやニコラスケイジに顔似てるけど血の繋がりはあるのか?誰かコッポラ一族の系譜図を作って下さい。
ウェスさんの次回作に出ているという嬉しいニュースを得られた。早く観たい。

映画に戻って。最初の「お引き渡し」のヌードは少女的体型が非常に美しいラインを作っていましたが、あのヌードは吹き替えなんでしょうか。その後のキルスティンの大人ヌードとはラインが違うような。
この記事へのコメント
ほほー と
ワタシは現代に居ながらに
マリーの時間を過ごす と
いうか あ、オレ、マリーだ と
いった時間体験でした と

これ女性監督とオヤジの関係性の中でのワタシの感想

やっぱ人それぞれですなぁ
Posted by サバ at 2007年02月28日 00:38
>サバサマ
いやー
この映画とは、ネタミやらヒネミやら自らの「青春」に対する悔悟を交えずにはつき合えないです…むにゃむにゃ
この感想も本当だけど、書かれなかった面もあるというわけで。

サバさんの感想がむしろうらやましいです、ほんと。
Posted by だま at 2007年03月01日 00:20
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