2007年02月24日

『グアンタナモ、僕達が見た真実』

半ドキュメンタリーというか、本人達の証言+再現V+その後(現在)の本人達という構成はテレビのワイドショーやバラエティ番組でよく見るようなものだが、描かれている内容はおそらくテレビではめったに見ることは出来ない、気が重くなる、何か良からぬものが背後に充満している、そんな気分を満喫できるものだ。

単なる若造たちがひょんな事から2年間も、あの悪名高きグアンタナモに拘留される。
グアンタナモに至るまでの展開も、劇映画なら「そんなあほな」と思うような無茶な展開だが、グアンタナモでの日々(=拷問)はなんで発狂せずに帰ってこられたのか不思議。強い、君たち強いよ。人間性の徹底的な剥奪。システムってこわいな。

再現部分に挟み込まれる当時のニュース映像などは、「単なる若造」を追う映像と初めから最後までかけ離れており、妄想のたわごとにしか聞こえない。まあ、もちろん特にブッシュ&ラムズがすごいわけだが。与えられる情報がどれだけ一面的なものか、どれだけ「大体の意味においてはそう」といった形で私達の元へ落ちてくるのかを1つのテーマにしていることは間違いないだろう。「アメリカ」という国家への告発よりもむしろ、観る者への啓発が主題か。

この事態、あの頃のアフガニスタン、そしてグアンタナモの実体を少しでも多くの人により分かりやすく伝えることを引き受けたというだけでこの映画の存在意義はあるし、そうした役割を引き受けた映画として、過剰すぎない描写が素直に映し出されることを吸収させ、なんらかの気持ち悪さを持ち帰らせることに成功している。

という前提で、しかし不満はある。
「事件」以前の彼らのイギリスでの映像が極端に少ないことが残念。証言してくれる本人達は、以前にはなかったヒゲを蓄えていることからの推測として、事件によってそれまでとは違ったアイデンティティを持ちはじめたようにも見えるので、それ以前の彼らがいかに単なる若造だったかを存分に見たかった。

「ROAD TO GUANTANAMO」という原題からすれば時系列で描かれるのが順当かも知れないが、欲を言えばグアンタナモから始まり、時系列を超えてそこに至る過程を見せてくれればと思うものの、それはあれか、『父親たちの星条旗』か。

あと、何かが足りないと思ったのだが、それはどうやら音だった。特にパキスタンシーンでのデコバスやリキシャが行き交う通りや市場、また爆撃や人の呻く声などもずいぶんと押さえられている気がした。グアンタナモの静けさや轟音の拷問と、彼らの世界の音、それがもっと聞こえればなあ。くどいようだがイギリスシーンにラップミュージックを聴いて騒いでるシーンとかあるとなあ、あとで効いてくるのだが…

音ついでに言えば、本人達が再びパキスタンに向かうラストのシーンは叙情的な音楽などではなく、現地の音をもっと聞きたかった。音で流されて、あ、まとめに入ったのね、て感じになってしまうけど、あの映像自体は力強いのだから、もっとナマで観たかった。

ずいぶん注文多いな。ドキュメンタリーとしても劇映画としても弱いという印象。
とはいえ、前提は覆しません。
ともあれアメリカはグアンタナモに収容している人間全員にきちんとした裁判を受けさせろ。

再現部分の役者達は本人達と比べてずいぶんかっこいいが(失礼)、名前はムスリム圏の名前。彼らもまたパキスタン系イギリス人なのだろうか?

この映画を観たあとには『不都合な真実』か『それでもボクはやってない』を観たくなる。どっちも未見。で、このあと観に行ったのは『マリー・アントワネット』でしたが。
この記事へのコメント
「それボク」は必見ですよーっ。
来月こそは「ジョジョ」を観に行かねば。
Posted by しばむあ at 2007年02月25日 09:25
「ボク」は観に行くつもりなんだけど時間が…
ともかく終わっちゃいそうなヤツから観ていこうという自転車操業的な作品選別になっております。

「ジョジョ」の予告、バウスで観た!
予告でお腹いっぱいだけど。
予告の出来すごくいいよね。爆笑しました。
Posted by だま at 2007年02月25日 23:30
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