2006年11月28日

『STOP MAKING SENSE』

映画館(のスケール)で観る映画と、家で観る映画は別のものだと考えるべきなんだろうな。ミニシアターが家にあるゴダールはさておき、家で観るものはあくまでも「映画」に良く似たもの、いくらテレビが大きくなってもそれは近似値を求めるものでしかないのではないだろうか。スクリーンで観てつまらなかった映画がテレビで観たら面白かったというパターンは考えづらいけれど、家で観ていまいちだったのにスクリーンで観たら面白くてびっくりするということは度々起こり得ることだ。

と、幾度も思ったことをまたもや改めて書いてしまうのは、友人に勧められて数ヶ月前にDVDで観たときには「たしかに面白い試みのライブ記録だ」としか思わなかったこのTALKING HEADSのライブ映像をスクリーンで観てみれば、それはあまりに刺激的でかっこよくてワクワク感に満ちあふれたライブ「映画」だったからだ。自宅のAV環境が貧しいとはいえ、あまりにも別物。

光と音、光と音。映画はそれで出来ている。ステージ後方に映し出される映像以外は白い照明だけを使っているのに、ありとあらゆる光線が豊かな表情を作り出すステージと、1つずつ重なっていく音がそのことを強調しているみたいだ。ライブの生まれていく瞬間を映し出すと同時に、映像が映画として成立していく要素まで分解して差し出されているかのようだ。
それとね、単純にやっぱり音楽はある程度の響き渡る「空間」を必要としているよね。どんなにヘッドホンで大きい音出しても「響く」という過程を経て耳に届くものとはまるで異質だ。たぶんホームシアターシステムで音に取り囲まれる事とも。

舞台袖から暗い舞台の上に差し込む光の中を歩く白いデッキシューズのアップが映し出される冒頭で、既に「それ」が私が以前に観たものとはまるで違うと感じ、これから素晴らしいライブを体験できるのだというワクワク感に一瞬で支配されてしまう。

本題。
このライブ、観られた人はなんて幸せ者なんだ。
TALKING HEADS、格好良すぎるわ。怪鳥デビッド・バーン素晴らしすぎるわ。今日初めてTALKING HEADSのファンになりました。いろいろと凝ったライブというのはあるだろうけれど、このベクトルでこんなに完成度の高いライブって他にあるんだろうか。シンプルなんだよ、シンプルなんだけど唯一無二。まずとにかくデビッド・バーンのあの運動量と奇怪な動きを誰が真似できるんだと。そしてその奇怪な生物がバンドの一員として違和感のない空間を作り上げられるバンド。サポートどころかバンド内バンドのタムタムクラブまで存在させてしまうメンバー。タムタムでのティナがまたかわいいったら。
全員がすばらしく「パフォーマー」なんだよな、とても良い意味で。そしてそのパフォーマンスが今観ても全然恥ずかしくない。ま、洋服はさすがに80年代だけど。時代が1周してかっこいいとかじゃなくて、素直に刺激的だ。

倒しかけたライトを抱きかかえるように捕まえるデビッドを正面から映した一瞬のショットの、そのデビッドが気絶しそうなほど色っぽくてかっこいい。怪鳥のくせに。

メンバーがみんな楽しそうすぎる。特にコーラス2人。
デビッド踊りをマスターしたい。
ティナのがに股ダンスは足が長くないと真似できない。
ビッグスーツの一番面白いところは、デビッドの顔がでかすぎるのでそれほど違和感がないことだ。

STOP MAKING SENSE(曲の方)の演奏中、手動照明演出集団(?)の「蜃気楼」のように照明を手に持ってステージ上を動き後ろのスクリーンに影を投射している照明係に、ふいにデビッドがマイクを差し向け「STOP MAKING SENSE」の1フレーズを歌わせる(というか言わせる)のが、ほんの1瞬だけに妙にかっこいいのだ。これ、DVDで観たときには気がつかなかったんだよな。たぶん、暗くてつぶれてしまっていたのだ。

と、そんなライブを素晴らしい形で観られるこの映画はすごい。

ちなみに今回が日本最終上映だそうです。
さらに木曜日までしかやってません。
でも映画館でこそ、響き渡る空間と微かな光も観られる環境でこそ真価を発揮する「映画」です。
@ユーロスペース、21:10分から!行ける人は行け。
この記事へのコメント
大昔に観たので、ほとんど忘れてしまったけど『これ、映画館で観たいな〜』と感じたのは憶えてる。行くよ!行く!行く!
Posted by ヤスヲ at 2006年11月29日 14:51
>ヤスヲさま
きゃー!行って行って!
でっかい怪鳥デビッド・バーンを堪能してきて〜♪
Posted by だま at 2006年11月29日 23:34
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