2006年11月26日

『父親たちの星条旗』

英雄に祭り上げられた「現在」の間に差し入れられる硫黄島の「過去」。かなり細切れに幾度も幾度も差し入れられることで、過去の「記憶」は「過去」ではない強調する。「英雄達」にとってそれは一続きの「現在」。英雄という役柄を強制される現在と硫黄島で戦う現在が1つの体の中で並列されることのなんていう息苦しさ。華々しさが強調されるほど、過酷さが描かれるほど、苦しさは増す。
「戦争」がいかに人々の目に見えないものなのか。
国家のために戦うことと、戦場で友のために死ぬこと。その決定的な違いを国家は認めない。
国家は救わない。国家は面倒をみない。国家は国民のためにあるのではない。国家は利用するだけだ。『父親たちの星条旗』が執筆される現在からの視線がそのことをより鮮明にする。

イーストウッド×スピルバーグという組合せがすばらしい相乗効果を上げている。イーストウッドのシビアさにスピルバーグの戦場描写に掛ける異常な情熱。
すさまじい攻防の描写を、次は防ぐ側からの視点で見ることが出来るのかと思うと、不謹慎と言われようがワクワクしてしまう。理念的でありながら「映画」の興奮をも、しっかりともたらしてくれる作品。


ちなみに、マイク軍曹を演じたバリー・ペッパーはとてもステキだ。『メルキアデス〜』での彼は卑怯で小心で傲慢さに満ちあふれていたけど、今作では始めから最後まで良いヤツだった。嫌味な役をやらせたくなる顔なのに。それでもあえてナイスガイ。なんだか、そうなんだよ本当はあいつ良いヤツなんだよ、と勝手に嬉しい気持ちだ。
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『父親たちの星条旗』
Excerpt: こういうことを恥も外聞もなく語ってしまうのは個人的なセンスの悪さでもあるのだが、
Weblog: セガール気分で逢いましょう
Tracked: 2006-12-17 13:52
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