2011年04月14日

『ヒアアフター』

死後の世界をのぞく、死を体験する、自分の半身のような存在を失う。それぞれの形で死に捉われた人々が、しずかに、けれど決定的に再生を始める瞬間を劇的にでもなく情緒的にでもなく、あっけないほどあっさりと描くのだけれど、その抑制こそが再生へと向かう心への限りなくやさしい寄り添いのようで、涙があふれる。イーストウッドってほんとに天使になっちゃったんですかね。

マット・デイモン演じる主人公の力は本物だけど、クライマックスで超進化とかしないし、少年が求めるものをすべて与えてあげられるわけでもない。けれど確実に生へと向かい始める出会い。それが良い。失った兄の人格まで飲み込んだような、少年のおせっかい電話とそれにまじめに応対するマット・デイモンの笑える愚直さにほんわりしたり。
アメリカから姿を消してどこに言っちゃったのかと思えば、大ファンのディケンズの生家ツアーに参加してマニアぶりを発揮したり、これまた大ファンの朗読者のディケンズ生朗読を恍惚の表情で聞いて惚けてたり、そのただの人っぷりがやたらと良かった。なんというか、それでいいのだ。
ラストもただの妄想癖の変態かよ、とね。
いや、もちろん自ら握手する瞬間はぶわーっときた。

あと、うわさの料理教室のエロさはすごい。じじいはやはり変態…


冒頭の津波シーンはさすがのスピルバーグ印!なのですが、震災後はあれを思い出すだけでもややつらい。今作は震災後に上映休止になってしまったけれど、それはしょうがない。被災地の様子をテレビの映像で見ているだけの自分でも、今回の津波の後では、冒頭にあの映像が出てくる映画を平常心で観続けることはできないだろうと思います。
ただ、ずっと先だろうけど、奇妙だけど静かにやさしく心の再生を描くこの映画を観て、被災した人々が涙を流せる日がいつの日か来ますように、と思います。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。