2010年12月04日

『ブロンド少女は過激に美しく』

オリヴェイラの新作を観ることほど、この時代に生きて映画を好きで良かったなーと思えることはないのではなかろうか。濃密濃厚。そんじょそこらのパティシエでは作り出せない濃さと上品さとわいぜつさのハーモニー。

めずらしくリスボンが舞台で、その俯瞰と街路の美しさにすっかり魅了されてしまう。

事務所の鎧戸、歩道の装飾、少女の家のカーテン。

そして「少女」。
いかにも何かをしでかしそうな雰囲気でありながら、実のところ主人公を従順に待つ美人。若さと好奇心からの過ちを存分におかしそうでありながら、その過ちの種類がちがうという。そもそも原題の「金髪少女の奇行」がそのまま少女の怪しさの種類を示しているわけですが、それにしても成熟していない怖いものしらずな美しさというのは、存在するだけではらはらどきどきさせられるものなんですかね。

主人公のおじさんのキャラがまじめおもしろすぎ。
金持ち邸宅の金持ちぶりに呆然。サロンもそうだけど、こういう豪華でお金をきちんとかけたものを、上品に豪華に撮れるのはオリヴェイラがぴか一だったりするのかな。

列車の中の主人公の回想という形で進んでいたはずの物語が、少女のうなだれた「あしたのジョー」ポーズで終了する瞬間、え、ここでおわり?と、オリヴェイラ映画に付きものののとまどいをいだきつつも、いつのまにか物語を聞いていた自分が、物語の中に取り込まれてしまったような感覚を覚える。「外」にいたはずが、「内」に取り込まれてしまう。そしてエンドロールの列車が去っていくのを、私は物語の内側から見ている、というような感覚。

オリヴェイラの映画はいつもそうやって、物語の内と外といえばいいのか、次元を自由に越えてしまうかも。
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