2005年07月08日

『レイクサイドマーダーケース』

■おもしろい。すごく。でもこのおもしろさをどう書いたらいいのかわからない。ごく普通に娯楽作として楽しめるのに深くはまってしまったら大変なことになりそうな映画。湖底に沈みかねない。

■お受験合宿の為に湖畔の別荘に集まった3組の夫婦と3人の子ども、塾の講師と、1人の父親の愛人。殺人事件が発生し、お受験のために死体を遺棄する親たち。反対する役所と淡々と仕事をこなす柄本。でもね、事実はいろいろと複雑なのです。常識と良識と価値観の基盤など幻想に過ぎないことをたたきつけられる。

■柄本明と役所広司のコンビというと『ドッペルゲンガー』をどうしても思い出すが、狂気を狂気として自覚しながらもそれを正しいものとして受け入れる強靱さを持った(持ってしまった)ゆがみ気味の人間を演じさせたらもう、柄本明にかなう人がいないのではないかと思えるほどに、この人の狂いを狂いとして見せながらも、狂いと正常の境目などあるのかどうか観ている側を不安にさせる演技はすごい。「良識」という認識の不確実さを浮き彫りにするね、このひと。
■薬師丸さんがステキだったな。あのくりくりに丸い目だからこそ赤い光も灯したくなるでしょう。可愛らしいのに大人のくるしさも醸し出せる大人。
■サスペンスにホラー成分1割。その突然のホラーシーンの登場に「青山さんはきっとホラーやりたかったんだな」とにやにやするものの、そのシーンがこの映画にあるからこそ娯楽作として成立出来ているような気もして、でも逆に娯楽作から逸脱しかねない気もして、とにかくああいうシーンがあることは不可欠と思わせる本筋には必要のないホラーシーンは一体なんなのですか。
■青い光、過剰な光、一瞬の赤い光、過剰な暗闇。
■ストーリー自体は非常にすっきりしないもやもやした暗黒雲立ちこめたまま終わるのだけど、観終わった私の心は晴れ晴れでした。だっておもしろいんだもん。内容に漂う怖さはもちろん感じているのだけど、今見た映画の面白さを喧伝したくなるようなわくわく感にまずは流される。

■しかし、この映画の受けた不遇な扱いにはまったく納得いかない!私にとっては全然興味ないので躊躇しているうちに公開が終わってしまった原因ともなったけれど、原作者の東野圭吾は「ベストセラー作家」と言われる人だし、役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明、鶴見辰吾、杉田かおる、豊川悦司といったキャストで製作がフジテレビで、なぜ公開はあんなにひっそりと短期間で終わってしまったのだ。監督と製作サイドの間に何かあったのかもしれないけれど、せっかく作らせた傑作をみすみす埋もれさせてしまうなんてフジテレビはばかだな。もったいないったらもったいない!おもしろいのに!
■そんなわけで、間もなくDVDも出るらしいのでぜひ観て下さい。レンタルでいいですから。ただし、部屋は暗くして。過剰な光と暗闇におびえるためにも。
■あともう、この映画のすばらしい感想群は基本的にここを参考にして下さい。
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